2015_07
15
(Wed)13:37

涙でぬれたご飯

 

むかし、お釈迦様のお弟子に目連さんと言う人がいました


ある日、目連さんは、ずっと前に亡くなった優しかったお母さんのことを思い出しました



ーお母さん、今頃どうしているだろう・・・・・・



目連さんは、修行で得た不思議な力で、お母さんを探しに死んだ後の世界へ行きました


すると・・・お母さんは餓鬼道(がきどう)と言うところで骨と皮ばかりに痩せ細って苦しんでいました。




「お母さん」


「おお、目連、何か食べ物をおくれ。お腹が空いて苦しいんだよ」




目連さんはビックリして、急いで食べ物を持ってきました


ところが、お母さんが食べようとすると、ご飯からボボボボボーッと火が激しく噴出して口をつけられません


目連さんが何度消しても、火はまた噴出すのです。




「食べたくても食べられない。これが餓鬼道と言うものなのか・・・」




目連さんはどうすることも出来ず、お釈迦様のところへ相談に行きました。




「目連よ、私の隣に座って目を閉じなさい。

 辛いだろうが、おまえが見ておかなければならないものがあるのです」




目連さんはお釈迦様と一緒に心の奥へ潜って行きました


すると、目連さんが幼い時のお母さんの姿が浮かび上がって来ました。




「とっととおいき、誰がほどこしなどするもんか」


「うるさい鳥だよ。米一粒だってやらないからね」




お母さんは目連さんには優しい人でしたが、自分達だけの幸せを求め、他の人や生き物には

何一つ施しをしない人だったのです。


その罪によって、お母さんは死んだ後、餓鬼道に堕ちたのでした。




「でもお釈迦様、それでも私にとっては大切な母です。どうか救う道をお教えください」



「目連よ、おまえの母を餓鬼道から救い出すには、その飢えて満たされぬ心をこそ救わなければなりません。

 それには、お前一人の力ではどうにもならないのです。

 いいですか、七月十五日には年に一度、ここに大勢の僧が集まります。

 その僧たちに食事を施しなさい。

 そして、彼らから祈ってもらい、施しの功徳をおまえの母にめぐらすのです」




目連さんは、言われたとおり、七月十五日に僧たちに食事を差し上げ

お母さんや他の餓鬼たちのために祈ってくれるよう頼みました。




僧たちは目連さんと一緒に一生懸命祈りました。

その祈りは餓鬼道のお母さんに届き、その飢えた心を満たしていきました。




「ああ、たくさんの人々が私のために祈ってくれている」





今までいつも足りない足りないと思っていたお母さんの心は、みんなの真剣な祈りで一杯になっていきました。





「みんな、みんな、ありがとう・・・・・」





お母さんの目から大粒の涙がポタポタとこぼれました。


その涙はお椀の中の燃えているご飯を濡らしました。


するとどうでしょう、あれほどしつこく付きまとってきた炎がシューッと消えてしまったのです。



お母さんは恐る恐るご飯を口にしました。





「食べられる、目連、私は食べられるよ!」





こうして身も心も満たされたお母さんは餓鬼道から救われて安らかな世界へ行くことが出来たのでした。





目連さんが、七月十五日にお母さんのために幸せを祈ったお話

これがお盆の始まりとなりました。




お地蔵様



親子で読みたい仏教のおはなしー② より



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